この記事では、
・筋トレ初心者が知っとくといいことってなんだろう
・筋肉ってどうやって太くなるんだろう
こんな悩みを解決します。
筋肉の基本、筋肉が太くなる仕組み、についてわかりやすく解説していきます。
記事を読むことで、筋肉の基本を理解し、筋肉が太くなる仕組みがわかるので、筋トレをより効果的にできるようになります!
トレーニング歴15年で、元スポーツジムインストラクター、認定ストレングス&コンディショニングスペシャリストの僕が今までの経験、専門書や論文を読んで得た知識を元に書いているので、これから筋トレを始める人はぜひ読んでみてください!
筋肉ってなに?

筋肉の構造
筋肉をトレーニングするなら、筋肉のことを知っておこう!ということで簡単に筋肉の構造を解説していきます。
筋肉は、マンガやイラストなどでは「一つの塊」として描かれることも多いと思いますが、実際の筋肉は細かい繊維が束になることでできています。
細かな繊維の一番小さなまとまりを「筋原繊維」と言います。
筋原繊維はミオシンというタンパク質でできている「ミオシンフィラメント」とアクチンというたんぱく質からできている「アクチンフィラメント」というさらに細い繊維からできています。
ミオシンやアクチンは筋タンパク質とも呼ばれます。
筋タンパク質は筋肉を構成するタンパク質の総称です。
筋肉を構成するタンパク質の総称で、収縮に直接関与するアクチンとミオシンのほかに、トロポニンなどの調節タンパク群を含む。
「筋タンパク質」,weblio辞書
筋原繊維が束になったものを「筋繊維」と呼びます。
筋繊維は、筋原繊維のほか、ミトコンドリア、筋小胞体、筋衛生細胞などの組織を含んでいます。
筋繊維が束になったものを「筋繊維束」と呼びます。
そして、筋繊維束が束になったものが一般的に呼ばれる「筋肉」です。
筋肉の動きかた

筋肉が短くなり力を出すことを「収縮」といいます。
人の体が動くのも、この「収縮」によるもの。
筋肉は関節をまたいで骨にくっついているので、筋肉が収縮することで、骨と骨は近づきます。
いろんな関節が連動してこのように動くことで人間は色々な動きをすることができています。
収縮のしくみ
筋肉が収縮するしくみは「滑走説」と呼ばれる理論で説明されます。
上に書いたアクチン、ミオシンフィラメントが関わってきます。
脳から「筋肉を動かせー」と指令が神経を通じて筋肉へ伝わると、筋肉を収縮させるための物質が分泌されます。
それを受け取ると、ミオシンフィラメントの先にあるミオシンヘッド(名前は比較的シンプル)という部分が、アクチンフィラメントを引き寄せます。
アクチンフィラメントが中央に向かって引き寄せられることで、全体の長さが短くなります。
ある部位の筋原繊維中で一斉に起こるため、筋肉全体の長さが短くなり、収縮することができます。
収縮の必要がなくなると、筋肉を収縮させるための物質の分泌が止まり、ミオシンヘッドがアクチンフィラメントの引き寄せをやめます。
そうすることで、筋肉は弛緩(ゆるむこと)し、筋肉は元の長さに戻っていきます。
これが筋肉の収縮の一連の流れです。
まぁ別にこんなことは知ってなくても、筋トレはできるのですが、自分の筋肉の中のミオシンがアクチンを引き寄せ、それによって筋肉が収縮していることをイメージしながらやると、より筋肉の中の中まで鍛えられるような気がします!
収縮には種類がある
収縮は次の3つの種類で分けられます。
- 等尺性収縮
- 短縮性収縮
- 伸張性収縮
等尺性収縮
名前の通り「等尺」と、長さが変わらない収縮のことを言います。
例えば、ダンベルカールで、腕の力こぶの部分(上腕二頭筋)を鍛える動きをダンベルを持ってするとき、重りが上がりもせず、下がりもせず、自分の力と重りが釣り合っている時のことを言います。
「収縮って筋肉が短くなることじゃないの?」という疑問を持った人もいるかもしれません。
収縮というのは単に「短くなる」ということではなく、筋肉が力を発揮する過程を指しています。
短縮性収縮では、筋肉の長さは変わりませんが、先ほどの滑走説の話のところで解説したアクチンとミオシンの結合は行われているため、収縮とよばれます。
短縮性収縮
筋の長さが短くなりながら力を発揮している時のこと。
例えば、腕を鍛えるときに、肘を曲げて、重りを持ち上げる(体に近づける)時の状態をいいます。
伸張性収縮
筋の長さが長くなりながら力を発揮している時のこと。
先ほどと同じ腕のトレーニングの時の、重りを下ろしていく動きのことです。
「下ろしているので、力は使ってないのでは?」と思われるかもしれません。
確かに、力を入れないと重りはストンっとおりてしまいます。
これは単に力を抜いている状態で、伸張性収縮ではありません。
そうではなく、ゆっくりと下ろしている時など、ブレーキをかけながら動かしている状態をいいます。
筋肉自体は長くなっているのですが、筋の内部ではアクチンとミオシンとが結合しつつ、力を出しているので、これも「収縮」の一つです。
ポジティブ、ネガティブといわれたりもする
短縮性収縮は「ポジティブ(動作)」、伸張性収縮は「ネガティブ(動作)」とも呼ばれたりします。
筋トレYouTuberさんなどが「ネガティブを意識して……」といっていたら、それは「伸張性収縮を意識して」という意味です。
筋繊維の種類

筋繊維は特徴によって大きく分けて2つに分けられます。
- タイプⅠ,遅筋繊維
- タイプⅡ,速筋繊維
どちらかだけ、ではなくこのふたつの繊維がある割合で筋肉の中に存在しています。
その割合は、個人差がありますが、部位によってどちらが多いかというのは大体決まっています。
タイプⅠ,遅筋繊維
ひとつ目は、「タイプⅠ繊維,遅筋繊維」と呼ばれるものです。
この繊維の特徴は、持久力があることです。
長時間力を発揮することができ、疲労耐性が高いです。
そのため、常に力を発揮する必要がある、姿勢を維持する筋肉などに多く含まれています。
またこの筋繊維は長時間力を発揮することができるものの、力を出すための収縮速度は遅いため、素早く力を出すことには向いていません。
なので「遅筋繊維」(遅い繊維)とも呼ばれます。
タイプⅡ,速筋繊維
もうひとつのタイプが「タイプⅡ、速筋繊維」と呼ばれるものです。
この繊維の特徴は大きな力を素早く発揮することができるところ。
そのため、腿の筋肉や二の腕の筋肉などに多く含まれています。
大きな力を素早くだせる反面、疲労耐性は低く、疲れやすい筋繊維です。
こちらは、「速筋繊維」(速い繊維)とも呼ばれます。
筋トレではタイプⅡ,速筋繊維が大きくなりやすい
筋トレは重りを扱い、短い時間に力を発揮する運動です。
そのため筋トレではタイプⅡ,速筋繊維が大きくなりやすいです。
筋肉の役割の種類

筋肉はその役割によって分けることもできます。
それが「主働筋・拮抗筋」という分け方です。
主働筋
ある動きをするときにメインに働く筋肉のこと。
例えば、ダンベルカールで、メインに動くのは、上腕二頭筋と呼ばれる筋肉です。
そのため、アームカールをするとき、上腕二頭筋は主働筋として働きます。
拮抗筋
ある動きをするときにメインの筋肉に拮抗するように働く筋肉のこと。
先ほどのアームカールでは、上腕三頭筋が拮抗筋として働きます。
メインの上腕二頭筋を支えるように動きます。
筋トレと主働筋、拮抗筋の関係
筋トレで、ある種目を行うときに、主働筋や拮抗筋を知ることが大切なのには理由があります。
そのひとつに「マインドマッスルコネクション」というものがあります。
これは、自分のマインド(頭、意識)と筋肉を繋げるもので、このつながりができると、筋トレの効果が上がりやすいと言われています。
例えば、ジムで「〜を意識して動かしてください」などと言われるのは、自分が鍛えている筋肉を意識して動かすことで、より高いトレーニング効果を得ようとしているからです。
そのため、各種目・動きでどの筋肉がメインとなっているのか?を知ると効果的に筋トレを行うことができます。
また、拮抗筋はメインの筋肉と反対の動きをするものです。
例えば、ダンベルカールをするとき、主働筋の上腕二頭筋しか体になかったとします。
そうすると、力が直接動きに影響され、間違えて力を出しすぎてしまうと、肘の関節を怪我してしまうかもしれません。
それを防ぐ役割をしているのが、肘の関節の反対側についている、上腕三頭筋です。
上腕三頭筋は拮抗筋として、反対の動きをすることで、関節の動きをコントロールし、怪我を防いでいるわけです。
また、ダンベルカールで重りをおろしていく局面では、肘を伸ばしているため、上腕三頭筋がメインで動いているような気もしますが、そうではないです。
上腕二頭筋は伸張性収縮を行なって、伸ばされながら力を発揮しています。
そのため、主働筋は上腕二頭筋、拮抗筋は上腕三頭筋となります。
また、ストレッチにおいても主働筋・拮抗筋の考え方は大切です。
ストレッチは筋を「伸ばす」運動ですが、筋肉は自分で伸びることができません。
この記事で何回も書いているように、収縮はできますが自ら伸びることはできないんです。
「じゃあストレッチってどうなってるの?」と思われたかもしれません。
ストレッチは、狙った筋肉が伸びるような姿勢をとることで、筋肉を伸ばしていく動きです。
そしてそのとき、自分の体をよく観察してみると、反対側の筋肉は軽く収縮していることがわかります。
例えば、腿の前の筋肉、大腿四頭筋を伸ばすとします。
立った状態や、座った状態で、踵がお尻に近づくように膝を曲げるストレッチが一般的です。
そのときに、腿の後ろの筋肉、大腿二頭筋は収縮しています。
そのため、ストレッチに少し伸ばしたい筋肉と反対の筋肉を意識することでよりストレッチをしやすくすることができます。
筋肉が太くなる仕組み

筋肉が太くなることを「筋肥大」といいます。
筋肥大は筋繊維が太くなることで起こります。
筋繊維が太くなるには、筋タンパク質が増えることが必要です。
体の中では、筋タンパク質の合成と分解が常に行われています。
これは、古くなった筋肉を新しくしたり、筋肉を分解することで体を動かすエネルギーを作っているからです。
合成と分解のバランスは普段は釣り合っているので、体は一定の筋肉を保っています。
筋トレをスイッチに、合成が促進される
普段は合成と分解とは釣り合っているのですが、筋トレを行うと合成が促進されます。
筋トレをスイッチとして、筋肉の成長や修復のため、筋タンパク質の合成を促進する物質が体の中ででます。
つまり、合成が分解を上回ると筋肥大は起こるわけです。
筋トレの機械的張力と代謝ストレス、筋損傷がスイッチになる
筋合成を促すスイッチとなるものは3つあります。
- 機械的張力
- 代謝ストレス
- 筋損傷
機械的張力
重りなどの抵抗に対して筋肉が力を発揮することで生じる力。
簡単にいうと、筋トレでなにか種目を行い、重りをうごかしたことがひとつのスイッチになります。
重りを動かしたことで、筋肉がダメージを受け、それを修復するために筋肥大は高まります。
代謝ストレス
科学的(ケミカル)ストレスとも呼ばれます。
重りを動かしたことで、体の中で、さまざまな代謝物が生産されます。
この代謝物が体の中で増えることも筋タンパク質合成を促進します。
筋損傷
筋肉の微細な損傷は、トレーニングの過程で自然に発生します。
これにより、体は損傷を修復するために筋タンパク質の合成を促進し、結果として筋肉が太く強くなります。
このようなスイッチにより筋タンパク質の合成が高まり、筋肥大が起きます。少し難しいですが、言い換えると、筋トレではこの3つの刺激を体に与えて、筋んたんぱくの合成を促し、筋肉を成長させていくことを目的にしているともいうことができます。
また筋トレを行うときに、どのスイッチを主に狙ってトレーニングするか?の違いによってトレーニング方法を変えることもできます。
どのくらいの日数で筋肥大は起こるのか?

本や研究によって違いはありますが大体3〜6ヶ月で筋肥大の効果がみえてきます。
「そんなにかかるのか」と思いましたか?
たしかに、すぐ結果が出るわけではないため、継続が大切です。
でも、筋力はもっと早く向上するんです。
それは、神経系の発達によるものです。
筋力は数週間のトレーニングでも向上し、扱える重量が上がっていくので、筋トレの効果が感じられないということはないです。
そのためにも、日々重さや回数などを記録することをお勧めします。
初心者ボーナスについて
初心者ボーナスという言葉があります。
これは、筋トレをこれから始める人が、経験者よりも効果を得やすいということです。
先ほど書いたように神経系の発達により、扱える重量上がっていきますし、筋肥大に関しても経験者よりも長時間筋タンパク質合成が促進されることがわかっています。
そのため、正しいトレーニングで継続することができれば、初心者の方が見た目の変化もわかりやすいです。
まとめ
- 筋肉は筋肉の繊維が集まってできている。
- 筋肉は収縮して力を出す。
- 収縮には等尺、短縮、伸張性の収縮がある。
- 筋肉は、役割によって主働筋・拮抗筋に分けることもできる。
- 筋トレによって、機械的張力や代謝ストレスが体に与えられ、それが筋たんぱく質合成を促進する物質を出す。
- 合成が分解を上回ると筋肉がつく。
- 初心者は、その合成量が、経験者よりも多いため、トレーニング最初の頃は伸びが多い。楽しい。

